【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「そ、そうだな……」
「どうなさったのですか?」
「いや、喜ぶと思ってこの部屋を予約したが、予想以上に可愛らしくて」
「そうですね。本当に可愛らしい部屋ですよね!!」

 こんなに素敵な部屋を予約なんて、日数もないなか大変だったと思う。

「部屋……。まあ、部屋も可愛らしいな」
「……?」
「ここからの景色も素晴らしいらしい。明日、少しだけ祭りを見に行こう」
「お祭り!!」

 その言葉に振り返れば、白い窓枠と白いレースのカーテンが目に入る。
 窓開ければ、爽やかな風。
 一面の白い壁と赤い屋根の家。
 下の通りでは、すでに屋台の設営やお祭りの飾り付けのため、人々が忙しなく動いていた。

「すてきです。……ところで、何のお祭りなのですか?」
「花の妖精と恋人の物語を模した祭りのようだ」
「わぁ。とっても、楽しみです」
「ああ……」

 穏やかに微笑んだ騎士団長様。
 その時、ドアがノックされる。
< 115 / 334 >

この作品をシェア

pagetop