【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「あれ? どうしたんでしょう。宿屋の方でしょうか?」
「いや、おそらく」
騎士団長様がドアを開けると、先ほど購入した布と、たくさんのレース、裁縫道具を抱えた女性が部屋に入ってきた。
「この街は、布の生産でも王国一だが、王都にも負けない腕利きの職人が揃っている」
「そうなんですね」
それと、目の前の女性が部屋に来た理由が結びつかず、首をかしげた私。
「こちらのお嬢様ですね!」
「ああ。その紫の布で、ドレスを作ってくれ。デザインのことは詳しくない。どんな材料でも使って構わない。それから、普段使いできるワンピースを10着ほど」
「それは、宝石でも、最高級の布やレースでも、何でも使い放題、予算上限なしということですか?」
「当然だ」
「……え?」
「っ! 了解いたしました!! 私にお任せを!!」
あまりの急展開にお断りするタイミングを失った私は、あっという間に全身のサイズを測られて、なぜかメラメラと燃えているデザイナーさんと、ドレスの打ち合わせに突入したのだった。