【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「……好きです」
たぶん私の顔は真っ赤だろう。簡単なんて言ったくせに、声が緊張で震えてしまっている。
でも、きっと騎士団長様は、今まで自分の気持ちを表現しないで生きてきた私の勇気を受け入れてくれる。
そう信じられるから……。
クマのぬいぐるみを挟んで、ぎゅっと騎士団長様の大きな体を抱きしめた。
その体は、とても大きいから、クマのぬいぐるみを間に挟んでしまうと、腕がまわりきらない。
「大好きです。…………アーサー様」
きっと、今この瞬間、騎士団長様と呼ぶのは違うから。
戦場で生きてきた、騎士という名を、今は忘れてほしいから。
騎士団長様が、手を離したせいで、トスッと軽い音がして、クマのぬいぐるみが騎士団長様の膝の上に落ちる。
「俺もだ……。リティリア」
私たちの間にあった狭い隙間は、次の瞬間消えてしまっていた。