【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
しばらく抱き合っていた私たち。
徐々に大きくなる私の恥ずかしさを身じろぎから察したのか、騎士団長様はそっと離れた。
「リティリア嬢……」
「騎士団長様?」
「はは。すぐに戻ってしまうな……。できれば、アーサーと」
「…………二人きりの時だけ」
普段からアーサー様と呼ぶには、まだ時間がかかりそうだ。
だって、名前を呼ぶだけでこんなに鼓動が早くなってしまうなんて、心臓に悪すぎる。
「――――リティリア」
「っ、ひゃい!!」
「…………かわいいな」
いつの間にか、床に落ちてしまっていたクマのぬいぐるみを拾って、騎士団長様は軽くほこりを払った。
差し出されたクマのぬいぐるみに思い出すのは、照れたように差し出した騎士団長様の姿だ。
今回は、余裕のある大人の表情で差し出されたクマのぬいぐるみ。
私ばかりが翻弄されている気がする。