【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「一回で特賞引くなんて運がいいのですね?」
「いや、俺は運の悪さには自信がある……」
「え、そうなのですか?」
「……いや、君に会ってコーヒーをカフェフローラで飲むようになってから、運がいい気がするな?」
「それはよかったです!!」
そんなのは気のせいだと思う。
でも、そう言ってもらうだけで、単純な私はすぐに有頂天になってしまう。
気がつけば、騎士団長様の淡いグリーンの瞳が、まっすぐに私にことを見つめている。
今になって、宿屋に二人きりで泊まっていることを意識してしまった。
「寝るか」
「……あの」
大きなベッドの横に用意された簡易ベッドは窮屈そうだ。
私の方が体が小さいから、そちらに寝た方がいいと主張したけれど、騎士団長様は頑なに譲ってくださらなかった。
「……どうした?」
「……いいえ。明日のお祭り楽しみです。……おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
以前よりもさらに愛着がわいてしまったクマのぬいぐるみを抱きしめて、私は一人では広すぎるベッドに潜り込んだ。
ランプの明かりが消えても、いまだお祭りの準備に盛り上がっている窓の外からは、明かりが差し込んでいた。