【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「っ……あの」
「昨日は呼んでくれたのに」

 いつも大人の余裕と威厳を感じる騎士団長様が、少しだけ子どものように拗ねる姿は、あまりに心臓に悪すぎる。

「うぅ……。行きましょう、あっ、……あ、アーサー様」
「……ああ。そうだな、今日は祭りだから、欲しいものは全部買ってあげよう」
「子ども扱いです…………」
「そうだな。今日だけは、子どもに戻って楽しめばいい」

 子ども扱いが嫌で言い返したにもかかわらず、初めてのお祭りがうれしすぎた私。

「……っ、あの綿菓子! キラキラ小さい粒が宝石みたいに光っている上に、七色ですよ!?」
「はは。ほら、味も七種類らしいぞ?」
「本当に! ピンク色の部分少し酸っぱくておいしいです。……わぁ! ピンク色の飴がかかったフルーツ!! お花みたいに甘い、いい香りがします」
「ふ。そうか、ほら。これなら小さいから次も食べられる」
「パリパリしている。おいしぃ……」

 すっかり周囲の子どもたちよりもはしゃいでしまい、綿飴にフルーツ飴、串に刺したお肉に、この地方の郷土料理らしいサクサクの素朴な焼き菓子まで、思う存分ごちそうになってしまったのだった。
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