【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
すっかりはしゃいでしまって、我に返ったときには昼過ぎになっていた。
「に、日程が!!」
「問題ないだろう。まあ、残念ながら、今夜の寝床は馬車の中になりそうだが」
「……はしゃぎすぎたせいですね。すみません、きしだ……アーサー様」
「それに、この祭りの本番は今からだ」
そういえば、花の妖精と恋人のお祭りだって、騎士団長様が言っていた。
あの、広場の中央にあるたくさんの花冠。
きっと、お祭りで使うのね。
ある人はどこか緊張したように、ある人はうれしそうに、ある人は恥ずかしそうに、花冠を受け取っていく。
「少し待っていてくれるか?」
「あ、はい……」
両手に綿あめと串焼きのお肉を持った私は、広場の端に取り残された。
少しして、騎士団長様は花冠を手にして戻ってくる。
「わぁ、綺麗ですね!」
騎士団長様の、どこかそわそわと緊張した様子に首をかしげる。