【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
それでも、まだ少し高いから、背伸びをして、手に持った花冠を騎士団長様の頭にのせる。
「……私も、愛しています」
ひらひらと飛んでいた花の妖精が、私たちに金色の光を落として遠くへ飛んでいった。
領地に着くまであと少し。
きっと、この瞬間は、年をとっても懐かしく思い出すに違いない。
「年をとっても、二人で今日の思い出話ができそうですね?」
「はは、ずいぶん先の話をするな?」
「だって、そのときも一緒にいたいから」
騎士団長様は、少しだけ眉を寄せて笑った。
安全とは言えない騎士のお仕事について考えたのだろうか。
「……そうだな。きっと、笑って話せるな。それに、年をとってもリティリアはかわいいに違いない」
「それをいうなら、アーサー様こそ、すてきに違いないです」
「そうか、期待に添えるように努力しよう」
けれど、そんな表情を次の瞬間には押し隠したように、騎士団長様は朗らかな笑みを私に向けたのだった。