【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
パチパチと瞬きして、オーナーを見上げる。
ニッコリと笑い返してくれたオーナーの真意は、いつも読めない。
「なるほど。……王宮魔術師殿を敵認定してもいいか?」
ここまで黙っていた騎士団長様が、急に不穏なことを口走った。
どうして、今までの流れで、オーナーが敵認定されるのか、全く意味が分からない。
「……誤解させてしまったか? 意外と可愛いところがあるね。ヴィランド卿は」
「……そうですか? あなたが気がついていないだけに思えてしまったのですが。ああ、余計なことを言ったな」
「…………」
ふいっと、目をそらしてしまったオーナーは、少しだけ遠い目をしている。
そのことも気になるけれど、私には、今すぐ聞かなくてはいけないことがある。
「オーナー。ところで、また魔力が不安定なのですか?」
私と出会ったあとも、何度かオーナーは魔力が不安定になった。
不思議なほどその場に居合わせてしまう私が、妖精に力を借りてオーナーを助けたことは、何回もある。
魔力が不安定になったオーナーのそばに、ある程度の時間いると時間が巻き戻されてしまう。
今の私は理解している。
時空に関する魔法の使い手は、誰も敵わないくらい、強くて想像を絶する魔法が使える代わりに、その魔力に飲まれやすい。
子ども姿になってしまうほど、魔力が不安定だなんて、そのまま放っておいたら、もしかすると……。
「……そうだな。ここ最近魔力が不安定だ」
事もなげにそんなことを言うオーナー。
星屑の光をこぼしたオーナーが、捕まえることができず、急きょ違うテーマになったあの日、少しおかしいと思ったのだ。
予想通りの言葉に、私は不安が的中してしまったことを知った。