【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
少し開いた窓から、妖精が一人入り込んできて、弟の肩にとまる。
まるで、内緒話でもしているような距離だ。
「……まあ、僕はどちらが兄さんでもいいけどね。妖精が、『ヴィランド卿は、強すぎて怖いけど、いい人。それにリティリアが本当に好き』って言っているから」
「な、なにを言って……」
「妖精は嘘をつかない。姉さんは知っているだろ?」
「へあ!?」
妖精が見えるだけで、お願いを聞いてもらうことはあっても会話はできない私。
一方魔力豊富な弟は、妖精と会話ができる。
母がそうだったように……。
まだ、妖精と弟は内緒話をしているようだ。
「……先が思いやられるけど、二人も英雄がそばにいて、心強いと思えばいいのか?」
弟は、苦労人だ。
それは、私がぼんやりしているせいなのかもしれない。
できる限り、これからは弟の力になれるように頑張ろう。
そう心に決めた私を見つめ、弟はほんの少し口の端を上げたあと、小さなため息をついた。