【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
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「それで、姉さんはなにも言わずに帰ってきたの?」
弟は、私よりも怒っていた。
いつも、私のことを心配してくれる弟。
これでは姉弟が逆さまみたいだ。
「ありがとう。ごめんなさい、ウィアー子爵家からの支援があれば、すぐに持ち直せたと思うのに」
「姉さんのせいじゃない。それに、おかしいんだ」
弟は、私よりも3歳も下なのに、本当にしっかりしている。
私よりも頭ひとつ分小さいのに、すでにレトリック男爵家の執務にも参加しはじめていた。
「…………何が?」
「婚約破棄については、噂が広がるほどの時間が経っていないのに、すでに姉さんに婚約申し込みが相次いでいる。……しかも、断りにくい高位の問題がある貴族ばかりだ」
「そ、そうなの」
レトリック男爵家は、魔鉱石に関連した事業を扱い、爵位にしては発言力と影響力を持っていた。
でも、今この状況では、少しでも条件のいい婚約を受け入れるのが得策だろう。