【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
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レトリック男爵家は、どちらかといえば田舎貴族の部類に入る。
私なんて、子どもの頃何回か王都に来たことがあるだけだ。
「たしか、このあたりのはずだけれど」
大きなリュックを背負って、周囲を見渡す。
次の瞬間、ひらりと1枚の木の葉が私の前を横切った。
その木の葉は、まるで意思でもあるみたいに、クルクルと私の前で回ると、通りの向こうへと飛んでいく。
……シルヴァ様の魔法?
私は、そんなに魔力に敏感ではないけれど、木の葉からは確かにシルヴァ様の気配がする。
慌ててリュックを背負いなおすと、私は木の葉を追いかけた。
どんどん、木の葉はメインストリートへと近づいていく。
そして、急に目の前に、そのお店は現れた。
「カフェ、フローラ?」
淡いピンク色のレンガに、白い扉。
確かに聞いていたお店の名前た。
予想以上に可愛らしいけれど。
「よく来たね」
その時、聞き慣れた声がした。
先ほどまで自由に飛んでいた木の葉は、魔法が解けたのかひらりと道路に落ちる。