【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「そうか、俺にくれるのか?」
「はい! それ、この中で一番質がいいものですよ! 小さいけれど、市場には出回らないでしょうね」
「そうだろうな……」
大きな手が、小さな魔鉱石を包み込む。
その瞬間、太い節くれ立った指の隙間から、銀色の光があふれ出した。
騎士団長様の魔力は、美しい色だ。
でも、色が見えるほど強い魔力を出すなんて、いったい何をしているのだろう。
「騎士団長様?」
「少し黙っていて?」
「は、はい」
数分の沈黙。徐々に小さくなった光が消えて、騎士団長様が微笑みながら顔を上げた。
「両手を出してくれないか?」
「えっ、こうですか?」
そろえた両手の上に転がってきたのは、先ほどまで透明無色だった魔鉱石。
今は、銀色の光を宿して、時々七色に反射しながらキラキラ輝いている。
「へぇ、楽しそうだな。俺もやろう」
オーナーが手にしたのは、もう一つあった小さいけれど、高品質な魔鉱石。
王宮魔術師のオーナーは、さすが数十秒で手のひらを開いた。