【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 ***

 胸に輝く魔鉱石は、たぶん値段がつけられないに違いない。
 拾った魔鉱石に、それぞれの魔力を込めてもらっただけだから、元手はかからないにしても……。

 市場に出回らない高品質の魔鉱石が3個に、王国の五本の指に入る3人の魔力……。

 けれど、胸に輝く宝石は、三人の気持ちが込められているようで、見るたびに頬が緩んでしまう。

「嬉しそうだな?」
「はい! とても嬉しいです」
「そうか、ところで……」

 騎士団長様が差し出したのは、大きな箱だった。
 促されるままに開けてみれば、中には薄い紫色のドレスが入っていた。

「あ、もしかして、あの時のドレスが出来上がったのですか?」
「そうだ。……リティリア嬢に、さぞや似合うだろうな」

 微笑んだ騎士団長様。
 こんなに素敵な人から、ドレスを贈られて、よろこばない女性なんてきっといない。

「騎士団長様、ありがとうございます。でも、お礼をしてもしても、返されてしまって困ります」

 照れ隠しがほんの少し紛れているにしても、間違いなくそれは私の本音だ。
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