【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「いや、本当にそのドレスについては……」
騎士団長様が、わかりやすく眉間のしわを深くする。
何かあったのかと首をかしげると、騎士団長様が、一通の手紙を取り出した。
王国の誰もが知っている、ワシと国旗の紋章が描かれた封蝋。
「…………え、まさか」
「その、まさかだ。王家から夜会の招待が来ている。リティリア嬢にも……」
「わ、私もですか!?」
社交経験がほとんどない私にまで……。
確かに、騎士団長様と一緒にいると決めたとき、避けて通れない道だと覚悟はしたけれど、こんなに早く。
「……領地での魔鉱石に関する問題が片づいたら、一緒に参加してもらえるだろうか」
「……私で役に立てるでしょうか」
「そんなこと考えなくていい。そもそも、俺にはリティリア嬢以外にはパートナーがいない。頼むのはこちらのほうだ」
騎士団長様のパートナーになりたい人は、星の数ほどいるに違いない。
それでも、私がいいと言ってくださるのなら。
「私、がんばります。その夜会は、いつですか?」
「二ヶ月後だ……」
「そうですか。それでは、早く魔鉱石の採掘をしてくれる人たちと一緒に採掘場へ行かないと……」
「まだ、二ヶ月もある」
「いいえ! 二ヶ月しかない、です。特訓しなくては」