【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「ふむ、サクランボを置くのはここか。これは、種類ごとに分けているんだな? ずいぶん乱れてしまっているようだ」

 ささっと品物を並べ替えていく騎士団長様の手際はものすごくよい。
 驚くまもなく、あっという間に戸棚が整理され、足りない在庫がハッキリとしていく。

「す、すごい……」
「入団したばかりの頃に、備蓄倉庫の管理を任されていたからな。似たようなものだろう。さ、リティリアは、足りない在庫を仕入れる手はずを……」

 その手は止まることなく、むしろ以前よりも整然と完璧に整えられていく。
 何でも出来る人というのは存在するのだと感動しながら眺めていると、後ろから華やかで興奮した声が聞こえてきた。

「り、リティリア!!」
「ダリア……? わ、可愛い!」

 今日も、この店ナンバーワンの人気店員ダリアは、可愛らしい。
 今日の衣装は、水色のワンピース。
 妖精の羽が生えているワンピースの各所に輝いているのは本物の星屑に違いない。

 金色の髪の毛は、ツインテールにまとめられ、可愛らしさを増している。

「うぅ! 助けて!! みんな体調を崩してしまって、私一人なの!」
「え、えぇ!? それは大変!!」

 用意されていた衣装に身を包み、私は騎士団長様のことをすっかり忘れて仕事を開始してしまったのだった。
< 179 / 334 >

この作品をシェア

pagetop