【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
最後にお皿洗って帰らなくてはいけないと思ったのに、すでに洗い上がって磨き上げられた上にしまわれている。
「え? 伯爵家のお方のはずでは……」
「……リティリアも貴族令嬢だろう? それに、騎士団にいるんだ。身の回りのことくらいは出来るに決まっているだろう? まあ……。子ども時代は、料理くらいは自分で」
「あ、あの」
「ん?」
そうだ、騎士団長様は、お父様であるヴィランド伯爵が政略結婚前に付き合っていた恋人の間に生まれたと言っていた。
色々と事情があるのかもしれない……。
「私でよかったら、毎日料理します。……あ、でもそれは料理長さんのお仕事ですね」
「はは。可愛いな。リティアの作ってくれた食事は、きっと料理長にとっても新鮮だろう。ぜひ作って欲しいな。そして、一緒に食べよう」
「は、はい!」
手を引かれ、チラリと振り返ると小さくダリアが手を振って、軽くウインクした。
視線を下げれば、大きいけれど少し冷たい手にすっぽりと包まれてしまった私の手が見える。