【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
食堂に着くと、もう当たり前になってしまったように、騎士団長様は自分の隣の椅子を引いて私に座るように促した。
「ありがとうございます……」
お礼を言うと、騎士団長様は、とても嬉しそうに笑った。
それだけで、再び私は心臓を鷲づかみされた気分になってしまった。
「――――すごい」
最初に運ばれてきた前菜は、細く切った色とりどりの野菜が、大きな貝柱の上にリボンのようにクルクルと飾り付けられていた。すでに鞘が開かれて覗いているお豆も、薄く切られた色鮮やかなカブ、一つ一つの食材は、よくあるものなのに、とにかく可愛らしい。
カフェフローラのメニューは、材料が特殊なので自宅で作ることは出来ないが、こちらであればまねすることが出来そうだ。
「冷める前に食べようか」
「はい。いただきます」
ほどよく焼き上げられた貝柱。
フォークを刺すと、柑橘系の香りが漂う。
そう言えば、ソースがオレンジ色だ。
パクリと食べれば、想像通り、口の中に爽やかな風味が広がる。