【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

王宮への招待


 結局二週間もの間、スタッフたちの欠員は続き、私は朝から晩までカフェフローラで働き続けていた。

 しばらく通っていた騎士団長様は、やつれた副団長シード様が、有無を言わさず連れ去ってしまった。
 あれだけ働いて前もって仕事を片付けたはずなのに、やはり騎士団長様がいないと、スムーズに騎士団のお仕事は回らないらしい。

 ふと、カフェフローラの在庫管理もバックヤードの整理整頓もそつなくこなしてしまった騎士団長様のお姿が浮かんだ。
 きっと、騎士団でも様々な業務を一手に引き受けているに違いない。
 改めて、多忙すぎるであろう騎士団長様のことが心配になってしまう。

 けれど、私には気になることがもう一つあった。

「……もう、明日は夜会」

 あれ以来、ギリアム様にも、私との婚約破棄のあとに新たに婚約したかつての友人ピエーラ・ジュリアス男爵令嬢とも会っていない。
 でも、明日の夜会は全ての貴族家に参加が義務づけられている。
 レトリック男爵家の代表、そして騎士団長様として参加すれば、二人にも会うことになるのだろう。
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