【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「……コーヒーを」
決まって、そのお客様が頼むのは、ブラックコーヒーだ。
森の魔女から手に入れた七色のさくらんぼが浮かんだソーダにも、オーナーが魔法を使って星屑の光を本気で集めてきて封じ込めたゼリーにも、見向きもしないでいつも頼むのはコーヒー。
「かしこまりました」
早朝は空いているため、店員はちょっと訳ありで、淡い茶色のふわふわした髪に、大きく丸い淡い紫の瞳をした、どちらかというと平凡な私しかいない。
「あの……。甘い物は、お嫌いですか?」
「……いや。嫌いではないが」
「これ、私が作った試作品なんです。いつも来ていただいているから、サービスです」
トレーの上には、コーヒー、そして、かわいらしいピンクの小皿に乗せた、妖精が好むという木の実を混ぜ込んだクッキーが二枚。
甘さが控えめだから、たぶん男性のお客様にも喜んでもらえると思う。
「――――君が?」
「え、あ、はい。こう見えて、店内のお菓子は半分くらい私が……」
「そうか」
それだけ言って、お客様は、クッキーを一口で頬張った。すぐに口の中のクッキーは消えて、もう一枚も口の中へ。
決まって、そのお客様が頼むのは、ブラックコーヒーだ。
森の魔女から手に入れた七色のさくらんぼが浮かんだソーダにも、オーナーが魔法を使って星屑の光を本気で集めてきて封じ込めたゼリーにも、見向きもしないでいつも頼むのはコーヒー。
「かしこまりました」
早朝は空いているため、店員はちょっと訳ありで、淡い茶色のふわふわした髪に、大きく丸い淡い紫の瞳をした、どちらかというと平凡な私しかいない。
「あの……。甘い物は、お嫌いですか?」
「……いや。嫌いではないが」
「これ、私が作った試作品なんです。いつも来ていただいているから、サービスです」
トレーの上には、コーヒー、そして、かわいらしいピンクの小皿に乗せた、妖精が好むという木の実を混ぜ込んだクッキーが二枚。
甘さが控えめだから、たぶん男性のお客様にも喜んでもらえると思う。
「――――君が?」
「え、あ、はい。こう見えて、店内のお菓子は半分くらい私が……」
「そうか」
それだけ言って、お客様は、クッキーを一口で頬張った。すぐに口の中のクッキーは消えて、もう一枚も口の中へ。