【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「そうですね。きっと、大人になってしまったのですね」

 私ばかりが、大人になりきれずに取り残されている気がした。
 三人に助けられるばかりの私に、出来ることはあるのだろうか。

「リティリア」
「アーサー様」
「少なくとも、俺はリティリアに助けられている」

 見上げると、今日も少しだけ眉を寄せた騎士団長様が、不器用に微笑んでいる。
 おもわず私は背伸びをして、そっと眉間のしわに触れる。
 今度こそ騎士団長様は、淡いグリーンの瞳で弧を描いて笑う。
 心臓がドクンッとして、苦しくなるほどその笑顔が好きだ。

「俺を暗闇からすくい上げてくれる人は、君だけだから」

 もともと、小動物みたいにまん丸な私の瞳は、きっといつも以上に丸くなっているに違いない。
 だって、私の知っている騎士団長様は、いつも光り輝く場所に立っている。
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