【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「店休日は明日のはず……」
「明かりが消えているな」
扉に触れると、まるで私たちを待っていたかのように開く。
扉の中は、テーブルと椅子しかない空間だった。
「オーナーに、何かあったのでしょうか」
「決めつけるのは早い。だが、シルヴァ殿がかり出されるような魔獣の情報も入っていない」
知らずに震える指先。
恋とか愛とは違っても、オーナーは私にとって、兄であり、家族そのものだ。
「リティリア、屋敷に帰ろう。俺が動いた方が早い」
「は、はい……」
指先をキュッと握られて、顔を上げる。
少し眉を寄せながらも、騎士団長様は冷静だ。
「ただ、シルヴァ殿が何かに巻き込まれたのだとすると、リティリアも関係があるかもしれない。屋敷の外には出ないでくれ」
「分かりました」
こんな時、何も出来ない私は、本当に無力だ。
その時、目の前にキラキラと金色の光が舞い散る。
「妖精」
「そうだな。魔力の香りを嗅ぎつけたのだろう」