【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「そう。まあ、予想はしていたけれど、ヴィランド卿のことはいいの?」
「……アーサー様のこと、誰よりも大好きで、愛しています。でも、恩知らずになってしまったら、正面から向き合うことが、もう出来ないから」
「……そうね。あなたは、そんな子だわ」
魔女様は、私に歩み寄ると、フワフワした髪を数本掴んで引き抜いた。
プチプチッいう音と、軽い痛み。
「さ、こっちへ来なさい」
「はい」
赤い屋根の家。乾いた薬草の香りに満たされたいつものテーブルを通り抜け、入ったことがない部屋に案内される。
「拾ったんだけど、寝場所を占領されて困っているの。何とかしてくれる?」
「……オーナー!」
白いシーツが掛けられたベッドに横たわっているのは、夜空のような紺色の髪、今は隠された金の瞳をした人だ。