【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「だから、これは俺の運命だ」

 振り返ったオーナーは、そんな言葉とは裏腹に、鮮やかな微笑みを見せる。
 そして、私の前から消えてしまった。

「……オーナー」
「あらあら。ヴィランド卿に、合流してしまうのね。それはそれで、素材さえ手に入れば私は構わないけれど。でも、それだと手に入ったものへの対価を払えないわ」

 頬に手を当ててつぶやいた魔女様。

「……魔女様は、オーナーを助ける方法をご存じなのですよね?」
「そうよ。でも、運命をねじ曲げるのは大変なの。ただでさえ、シルヴァは、もうここにはいないはずの人間なのだから」
「……」
「そう、あなたが中心になっているのよ?」

 魔女様の言っていることは、よく分からない。
 けれど、もしも私と出会ったことで、オーナーの運命が変わったのだというなら。
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