【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「もう一度、運命は変えられるということですか?」
「出来るわよ。ただし、対価は必要だわ」
「それは、何ですか?」
「妖精に愛される、その力」
その言葉を魔女様が発したとたん、妖精たちが群がるように目の前に現れて、私を取り囲んだ。
「きゃ!?」
「あら、一匹紛れ込んでいるな、とは思っていたけれど、こんなにたくさん仲間を呼び寄せるなんて」
体が急に浮き上がったように思える。
そして、急速に奪われる私の魔力。
「……えっ、何が起こっているの!?」
「はあ。いってらっしゃいとしか、言えないわ」
「ま、魔女様!?」
「これでも、あなたのことは気に入っているの。無事で戻ってきなさい」
そのアメジストのような瞳をなぜか愉快そうに細めた魔女様が、小さく手を振る。
その直後、妖精の住む森に入り込むときのように、周囲が雲の中にいるような景色に様変わりする。
「……本当に愛されているわね。残念」
魔女様の小さなつぶやきが、聞こえたような気がした。