【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
瞳を閉じて、祈るように胸の前で手を組んだ。
私の魔力量は、それほど多くない。
それでも、私が差し出した魔力に群がるように、妖精が強く瞬く。
ふらりと、足元が歪んだように思えて、思わず膝をつきかけたとき、誰かが腕を掴んで支えてくれる。
顔を上げると、そこには私と同じ紫色の光をその瞳に宿して、弟が立っていた。
「姉さんは、どうして誰かに助けを求めないんだろうね?」
「――――っ、エルディス! どうしてここに」
「……妖精が教えてくれたから」
そう、エルディスは、私と違って妖精の声を聞くことが出来る。
呆然と見上げた弟は、私と一緒に妖精にその魔力を差し出してくれる。
「ほら、行くよ」
「えっと、どこに?」
「――――どこに行くかも分からないで、こんな状態に陥っているの?」