【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「ここに置いていく方が危険だな……。一緒に行くとしよう」
「あの、エルディスと一緒に来たはずで……。気がついたらひとりになっていたんです」
「そうか。弟君は、君と同じで妖精に愛されている。妖精の導きを受ければ、問題ないだろう」
「そう、でしょうか……」
一匹の妖精が、私たちを先導するように飛び始める。
チラリと騎士団長様が、妖精に視線を向けた気配を感じる。
私をなぜか降ろしてくれないまま、歩き始めた騎士団長様。
「あの、歩けますよ?」
「この方が、間違いなく速い」
風を切って歩く騎士団長様は、本当に足が速い。
人をひとり抱えているなんて思えないスピードに、私は結局それが一番速いのだと納得せざるを得ず、その首に腕を絡めてしがみついたのだった。