【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
魔鉱石と妖精
かつては、世界中に魔鉱石はあふれていたという。けれど、それはすでに昔話の中のことだ。
私の淡い紫の瞳。妖精たちが愛するらしい魔力。
この力で、見つけることが出来る魔鉱石は、時に宝石以上の価値を持つ。
「これは、魔鉱石の採掘場跡か」
たくさん転がっているのは、ただの石ころに見えるけれど、知識ある人が見ればひと目で分かるだろう。
この石ころは、抜け殻になった魔鉱石だ。
「……こんなにたくさんあったのに、どうして抜け殻になってしまったのでしょうか?」
「そうだな……。原因はいくつか考えられるが」
抱き上げられたまま、荒れ果ててしまった採掘場を見つめる。
「リティリア。君は、あの場所に置いてくるべきだったかもしれないな」
「アーサー様、それはいったい」
そのとき、今まで見たことがないほど興奮した妖精たちが、群れをなしてこちらに飛んでくるのが見えた。