【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「……一匹でも傷つけてしまえば、その人間を妖精たちは永遠に許さない」
「……えっ?」
「つまり、逃げるしかないか」
私を抱え上げ直して、走り出した騎士団長様。
本当に今日は、なんてめまぐるしい一日なのだろう。
「えっと、走れます!!」
「この方が、間違いなく早い。それより、宝石は持っているか?」
宝石といえば、あのこぶし大の宝石に違いない。
「はい」
「紫色の宝石を妖精に向かって投げてくれ。くれぐれも傷つけないようにな」
「わかりました!」
ポシェットをまさぐって、取り出した宝石は、運良く紫色だった。
(少しもったいないけれど……)
宝石としても、価値が高いだろうそれを思い切って妖精たちの方に投げる。
とたんに、妖精たちはそれに群がって、あっという間に距離をとることが出来た。