【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「嬉しいよ……」
「えっ!?」
「俺のことを思ってくれたって事だろう? 少しだけ、うぬぼれてもいいのかな」
もう一度、私たちは口づけを交そうとした。
けれど、あと少しでお互いの唇が触れそうになった時、ガッシャンと魔法の壁が割れる音が洞窟内に響き渡る。
「――――お楽しみのとこ、悪いけど。目的地見つけたから、行くよ?」
振り返った先には、眉をひそめた弟、エルディスがいた。
弟に、騎士団長様と口づけしようとしようとした瞬間を見られた私は、多分耳まで真っ赤になったに違いない。
チラリと見た騎士団長様は、けれど口の端をどこか悔しそうに歪めただけだ。
やっぱり、私の方が騎士団長様のことを大好きに違いない。私は、そう結論づけたのだった。