【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「……泣かないでくれ、リティリア。僕の思い出の中の君は、いつだって笑っていてほしい」
「オーナーが助けてくださらなかったら、今も笑っている瞬間なんて!」
「リティリア。君には、ヴィランド卿がいる」

 泣いているばかりの私。まるで小さな子どもに言い聞かせるようなオーナーの言葉。
 小さな子どもに戻ってしまったように、涙がますますこぼれてしまう。

「泣かないで、リティリア」

 一際光が強くなった瞬間、私とオーナーは、小さなカフェテーブルを前に向き合っていた。

「……ここは」

 それは、あの日の夜空をモチーフにした店内だ。

「あの日、こぼれてしまった星の欠片が、カフェ・フローラに散らばったとき、リティリアが喜ぶかもな、と思ったんだ」
「……とても美しいと思いました」
「君に助けられなければ、僕こそもうここにいない」
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