【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 初めて出会ったあの日、子ども姿のオーナーは、今にも消えそうだった。
 けれど、助けたのは私ではなく妖精たちだ。
 私自身には、なんの力もない。そう、今この瞬間のように。

 目の前に差し出されたのは、七色の層の中、キラキラと星が閉じ込められたカクテルだ。
 差し出されたそれを受け取った瞬間、爽やかでかぐわしいその香りが鼻腔をくすぐる。

「……大人になった君と、飲み交わすのと密かに楽しみにしていたけど」
「もう私は、大人です。オーナー」
「そうだね。いつの間にか、大人になってしまった。いつまでも、幼い君のままでいると心のどこかで思っていたのに。……僕の可愛いリティリア」

 チンッと軽やかな音。二人が持つ華奢なグラスが軽い力でぶつかる。
 その七色の液体が、オーナーの喉をゴクリと通るのをただ眺めているうちに、周囲が眩く染め上げられるほど、眩い光に満たされる。
< 264 / 334 >

この作品をシェア

pagetop