【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「――――!!」
大好きなその声が、呼んだのはたぶん私の名前だったと思う。
「……大好きです。騎士団長様」
まるで、夜が明けてくるような、朝焼けみたいな淡い紫の光の中、差し込んでくる光は強くて眩しい。
薄れゆく意識の中で、思い浮かんだのは、白い雲とリボンと、可愛いお花で埋め尽くされた店内。
その可愛らしい店の目立たない席で一人、優雅にコーヒーを飲むその姿だ。
「早く、カフェ・フローラで騎士団長様に」
コーヒーを出してあげたい。
それに、新作のクッキーも……。
「リティリア!」
カフェ・フローラで私の名を呼んだのは、思いのほか、優しく可愛らしい笑顔の騎士団長様。
今はもう、その笑顔が胸が痛くなるほど愛しい。
もう一度私の名を呼ぶ声が聞こえた気がした。
それと同時に、愛しているって声も聞こえた気がしたけど、とのんきに考えたあと、私は意識を手放したのだった。