【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「ずっとそばにいてほしい」
「は、はい」
差し出されたクマのぬいぐるみを受け取って、思わず感極まって涙しながらぶんぶんと頷く。
――――パンッ!!
「きゃ!?」
途端に耳元でクラッカーの音が鳴り響いた。
飛び立つ白い小鳥と色とりどりの風船は、いったいどこから現れたのだろう。
動くぬいぐるみの存在以外、いつもに比べて普通に見えた店内が色とりどりの風船と白い小鳥で鮮やかに変化していく。
鳴り響くクラッカーと演奏を始めたぬいぐるみたち。その光景は、いつものカフェ・フローラ以上に、幻想的でにぎやかで、楽しい。
「すごい……」
気がつけば私は、騎士団長様の腕の中にいた。
「アーサー様?」
「愛している。どうか、これも受け取ってくれないか」
私の首にかけられたのは、銀色の魔石があしらわらたネックレスだ。
割れてしまった三連の魔石に負けないほど、その魔石は光り輝いていた。