【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
意外なことに、副団長様は、甘党のようだ。
それにしても、組み合わせのセンスが良い。
恋する苺のラテは甘くて、それでいて爽やか。キラキラキャラメルのクリームタルトは、サクサクとした食感にほろ苦い味がラテに良く合う。
そして、手作りクッキーは、試行錯誤の上完成した自信作なのだ。
少し楽しくなりながら、シャラシャラと鳴る飾りの音とともに席に戻ると、なぜか副団長様の代わりに騎士団長様がいた。
「あれ? 副団長様は」
「……早朝にどうしても打ち合わせがあると呼び出されたのだが、急用が入ったようだ」
「そうなんですか」
「……なるほど、甘そうだな」
いつもコーヒーばかり飲む騎士団長様の前に、色合いも鮮やかなスイーツと苺ラテ。
コーヒーに替えましょうか、と言いかけたとき、騎士団長様はおもむろに苺ラテを口にした。
「……あの、無理なさらなくても」
「……いや、リティリア嬢のように可愛らしく甘いな。悪くない」
「えっ、その!?」
「……いや、忘れてくれないか」
少し照れたように視線を逸らした騎士団長様は、タルトもパクパク食べている。
甘いものは、あまり好まないと思っていたけれど、意外に好きなのかもしれない。
「あまり時間がない。……このあと周囲の巡回がある。このあともしばらく忙しいのだが、少しだけでもリティリア嬢に会えてよかった」
「えっ!」
「では、失礼する」
私に会いに来たようなことを言って去って行った騎士団長様の背中を見送る。しばらくして我に返り、お皿を片付け始める。