【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 男性は、いつもは夜に来ているらしい。
 話の邪魔をしてはいけないと、会釈をして去ろうとした私を男性が呼び止める。

「待ちなさい。君にも用事があるんだ。リティリア・レトリック男爵令嬢」
「……あの」
「話なら俺を通していただけませんか?」
「やはり、他人に興味を持たない君まで彼女を大切にしているのか。実に興味深いな」
「……陛下」

 珍しく低くなったオーナーの声よりも、聞こえてきた単語に驚いて私は淡い紫色の目を見開いた。

(国王陛下!! なぜ、気が付かなかったの!?)

 慌てて深い礼をとる私は、男性、つまりこの国の国王陛下がいたずらっぽく笑うのを視界の端に捉えてしまったのだった。
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