【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
微笑んだオーナーの金色の瞳は、誰にも属さない孤高の狼みたいだ。
ニコニコと感情の読めない笑みを浮かべていた陛下が、真顔になって押し黙る。
「ヴィランド卿、お疲れさま」
「シルヴァ殿」
「どこまで送ればいいのかな?」
「城に戻してもらえると助かるが、シルヴァ殿は魔法が……」
夜空みたいな青みを帯びた髪の毛をサラリと揺らして首をかしげたオーナーは「この店にいる限り問題ない」と口にすると、もう一度指を鳴らした。
パチンッという音と、周囲を眩く染める金色の魔力。まぶしさに目を閉じ、そしてそろそろと開けると、そこに二人はいなかった。