【6月7日書籍発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 オーナーが初めて作ってくれたそれは、パンからはみ出した生ハムと崩れたクリームチーズのせいで不格好だったけれど、一口食べてその味に夢中になった。
 そこから試行錯誤を繰り返し、小さくて可愛らしいオープンサンドは完成した。

 甘酸っぱいベリーは、魔女様に分けていただいた氷の山の奥底で密やかに実る氷結ベリーで作った。
 青い果実は火を加えると、真っ赤に色を変える。
 ジャムを作る度に、私はその変化に目を奪われる。

「リティリア」

 顔を上げると、ユニフォームに身を包んだオーナーがいた。
 オーナーの顔色が悪いのは、いつものことだ。それすら、こな世界に存在しないほどの美貌を今日も神秘的に際立たせている。
< 303 / 334 >

この作品をシェア

pagetop