【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「まさか」
「え?」
「今回は、繋がってしまった場所との関係でたまたまよ」
「……カフェ・フローラ以外の場所にも繋がっているんですか?」
「どこにでも自由に繋がるわ。制約は重い代わりに……」
魔女様の微笑みは美しくて、つり目な印象の冷たさが雪解けのように柔らかく消える。
どこか儚いその美しさと紫色の瞳のせいで、今日も母のことを思い出す。
「さ、収穫を手伝ってちょうだい。そうすれば、対価として氷結ベリーを分けてあげられるわ」
「……いつも対価を払っていませんでしたが、大丈夫だったのですか?」
「今までは、対価分をシルヴァが働いてくれていたもの。もちろん、彼が作った魔方陣のスクロールや魔法薬はとても価値があるから対価として十分だけれど……。あなたも好きでしょう? 氷結ベリーのジャム」
「そうですね!」
ツルツル滑る地面に注意しながら、手を伸ばして実を摘んでいく。
けれど、私の背は小さいからすぐに取り切ってしまった。