【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 私の知らない間に、騎士団長様はレトリック男爵領の果樹園まで手伝っていたらしい。
 また、騎士団長様の知らなかった一面と活躍を知ってしまった。

「なるほど、ね。さてさて、氷結ベリーは今回作りたい魔法薬のメインになる素材なの。だから、私にとってとても価値が高いのよ……」

 頬に手を置いて困ったように首をかしげた魔女様。
 どんどん表情が険しくなる騎士団長様。
 そして、一人取り残されたように状況がつかめない私。

「ふふ、そんな顔しないの。悪いようにはしないから」
「……魔女殿は」
「そうね。……これくらいなら、調度いいかしら」

 ふわふわと体重を感じないような歩きで騎士団長様に近づいた魔女様は、青い果実を一粒指先でつまむと耳元に口を近づけた。
< 313 / 334 >

この作品をシェア

pagetop