【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「わあ……。夕焼け空みたい」
「ふむ。では、本日のテーマは夜空と夕焼けにしましょうか」
「素敵です!」
魔法みたいに作り上げられたのは、夜になる手前、ひととき美しく輝いた空だ。
「仕上げにこちらを」
「わあ!!」
星屑の欠片が混ぜ込まれれば、星が輝きはじめた空がグラスの中に現れた。
「さあ、夕食の後にデザートとしてお出ししましょう」
「楽しみです!」
料理長の作る食事は絶品だ。
今から楽しみでしかたがない。
けれど、やっぱり騎士団長様の元気がなくて心配になってしまう。
「……アーサー様」
「……」
騎士団長様が、長いまつげに彩られた淡いグリーンの瞳をまっすぐこちらに向けた。
そっと前髪が長い指先で寄せられて、その瞳が至近距離まで迫ってくる。