【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
木のトレーに並べられたのは、一つ一つが可愛らしくて、一口で食べられるものばかり。
フォークに乗せてそっと口に運べば、フワフワした不思議な食材で形作られた小さな木の実は、口の中で泡雪のように消えてしまった。
そして、端っこに乗っているのが、先ほど一緒に作ったデザートだ。
少し柔らかめのジュレは、口にすると酸味と甘みのバランスが最高で、ときどきパチリと星が弾けるのがアクセントになっている。
「……アーサー様の分は、リキュールを多めにしています」
「ああ、食後にぴったりだな」
にこりと笑った騎士団長様と、夢中で平らげてしまった私。
料理長は、確かに騎士団長様の分はリキュール多めと言ったのに、私はそれを聞き逃してしまった。
「さ、騎士団長様、行きましょう?」
「ん……。まさか、リティリアのにもリキュールが入っていたか?」
料理長は、恐らく確信犯なのに、私は今回もまたアルコールの入ったデザートを口にしてしまったのだった。