【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
フワフワする感覚。階段を上りながら、まるで雲の上を歩いているみたいだった。
食事をしたあと、完全に日が暮れる直前のほんの少し明るさが残った空をテラスから騎士団長様と一緒に眺めた。
火照ってしまった頬に、ヒンヤリとした風が心地よい。
「……まるで、さっき食べたデザートみたいな空ですね」
「ああ、美しいな……」
「ところで、魔女様に氷結ベリーを収穫したお礼に聞いたのは、どんなことだったのですか?」
「……そうだな。だが、冷えてきたから部屋で話をしよう」
騎士団長様の言葉に合わせたように強い風が吹き始めた。
強い風に運ばれてきたのか、一匹の妖精が星明かりに紛れてキラキラと私たちのそばを飛び回っている。
(なんとなく、この妖精はいつも私たちの周りを飛び回っている気がする)
そんなことを思っていると、そっと大きな手が、私の頬をもう一度撫でる。
そのまま手を繋いで室内へと引き返した。