【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
サンドイッチと嵐の予感
眠れない夜を過ごしても、まぶしい朝はくる。
窓から差し込む朝日が、高いことに気がついた私は、ベッドから飛び起きた。
「うそっ! もうこんな時間!?」
急がないと開店準備が間に合わないかもしれない!
いつも私は、始業時間より少し早めにお店に入る。
制服に着替えるのも時間がかかるし、お客様に喜んでもらえるように準備も完璧にしたい。
時計はすでに、家をでなくてはいけない時間を指し示していた。
私は、髪の毛を簡単に結ぶと、いつものバッグを抱えて部屋を飛び出す。
はやる気持ちで、お店の裏口を開けて、今日のテーマを確認する。
――――ローズピンク、異国の神殿。
裾の長い白いドレスは、ドレープがたくさんある、ストンとしたデザインだ。
袖もひらひらとドレープを描いている。
「こ……これは、すごいわ!」
毎日変わるテーマ。
オーナーは、お仕事で世界中を飛び回る魔術師様だ。
王国の外に実際に存在する景色や建物、小物を元に創りあげられているらしい。
お店の中は、不思議なくらい天井が高い。
中心はドームになっていて、全体がローズピンクに彩られている。
魔法でそう見せているだけだから、実際はお店の大きさに合わせて、ある一定の距離以上は進めないようになっているけれど、とても広い。