【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「やはり、瞳の色が濃くなったようだ……」
「え?」

 そのとき、脳裏に浮かんだのは、朝一番にお忍びでカフェ・フローラを訪れた陛下の言葉だ。

『……ふむ、淡いが美しい紫だな。しかし、以前得た資料に比べて幾分色合いが濃くなったか?』

 毎日見つめている瞳の色が、ほんの少しずつ濃くなったとしたら、人は気がつくことが出来るだろうか。
 ある日、ものすごく濃くなってから、違和感に気がついても……。

「……まさか」

 柔らかく沈み込んだソファーから立ち上がるのは容易ではない。
 少し苦戦していると、先に立ち上がった騎士団長様が手を引いてくれた。
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