【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

 この店のオーナーである俺は、ため息をつく。
 国王であるレイン・ディアンテール。幼い頃、魔術師としての才を見いだされ、拾われてからというもの彼とも長い付き合いだ。

「御用向きは?」

 氷結ベリーを漬けた強い酸味のリキュールを妖精が集めた蜜で作った蜂蜜酒で割ったカクテルを差し出す。それぞれが強い魔力を帯びているせいで、完全に混ざることなく、グラスはまるで薄暗い中で未だ透明感を失わない海に月光が差し込んだようだ。
 かなりの度数だが、陛下には調度いいだろう。

「――妖精と魔女かな」
「なるほど」
< 325 / 334 >

この作品をシェア

pagetop