【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
名残惜しさを感じるほど、ゆっくりと起き上がった騎士団長様。
それにしても、騎士団長様は、いつも忙しすぎる。
「朝ごはんは……」
「そうだな、一緒に食べるには時間が足りないか。可愛い寝顔を堪能しすぎたな」
「えっ、起きていたのですか!?」
騎士団長様は、蕩けそうな表情で笑い、私に手を差し伸べた。
その手を掴むと引き起こされて、もう一度抱きしめられる。
「――眠れるはずもない」
「えっ」
「リティリアが、可愛すぎるから」
おでこにひとつ口づけを落として、騎士団長様は立ち上がった。
「……さて、名残惜しいが出掛けるとしよう」
騎士団長様はそのまま、着替えのために別室に行ってしまった。
その言葉の意味を頭の中でグルグルと考えてしまった私は、閉められたドアを呆然と見つめる。
「あっ、お見送りできなくなっちゃう!」
そして大慌てで、クローゼットルームに飛び込むと、着慣れた装飾の少ない、けれど上等な布地の淡いグリーンのワンピースへと着替えたのだった。