【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
「そういえば、騎士団長様」
「……なんだ、リティリア嬢?」
サンドイッチをお届けして、銀色の薔薇についての話を切り出そうとした私。
このお店のサンドイッチは、具材と一緒に花が挟んであるから、色とりどりで美しい。
けれど、女性のお客様が多いから、小さく切られている。
騎士団長様が大きな手で摘まんだサンドイッチは、いつも以上に小さく見える。
「足りますか?」
聞きたかったのは、そんなことではない。
でも、銀の薔薇をお返しします、と伝える勇気が足りなかったのと、あまりにサンドイッチが小さく見えてしまったせいで、口から出たのはその一言だった。
パクリとやっぱり一口で食べたサンドイッチを咀嚼して飲み込むと、ほんの少し騎士団長様は考えるそぶりを見せる。
それから、私の方を見つめて、なぜか困ったように微笑んだ。
「……まあ、普段から朝はほとんどコーヒーだけだ。足りるだろう」
「えっ。激務なのに、体が持ちませんよ!?」
「――――それはそうだが」
私が気にすることではないのかもしれない。
でも……。いや、どうやってこの体を維持しているのだろう。
長身で肩幅が広く、一目で鍛えられていると分かる騎士団長様は、たくさん召し上がりそうなのに。
たくさんお肉を食べなくは、こんな体格、とても維持できそうにないのに。
「とくに最近は、朝から忙しいからな」
そんな忙しい中、ここに来てくれていたのだろうか。
なぜか申し訳なく思って、私は一つの決意を口にする。