【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?

「仕事中に押しかけてきて、暴力沙汰とは……」
「俺は彼女の婚約者です」
「……はは。おかしなことを言う。リティリア嬢は、俺の婚約者だ。すでに王都で噂になっていると思うが、求婚を意味する勝利の薔薇も受け取って貰っている」

 ……ん? いつの間に、騎士団長様と私は婚約したのかしら?

 あまりのことに呆然としていると、背中から回された手は、私をますます強く抱きしめた。

「ギリアム・ウィアー子爵令息。この、アーサー・ウィランドの婚約者に手荒なまねをして、ただですむと思うか?」

 途端に青ざめたギリアム様は、店のドアを勢いよく開けて、飛び出していった。
 開店直後の店内に、私たちだけを残して。

 そっと離れていく、ほのかなぬくもり。
 私は、くるりと騎士団長様のほうを向く。

 眉を寄せた騎士団長様。
 恥ずかしいところをお見せしてしまった。
 助けて、くださったのよね?
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