【12月6日書籍2巻発売コミカライズ決定】鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
銀の薔薇
そのあとは、どんどん来店されるお客様の対応で、時間があっという間にすぎていった。
昼の時間を過ぎると、ひととき店内のテーブルには、空きができる。
「――――お疲れ」
少し疲れを感じながら、遅めの昼ご飯をバックヤードで食べていると、急に上の方から声がかかった。
久しぶりに聞いたその声に、勢いよく振り返る。
そこには、紺色の宮廷魔術師の正装に身を包んだ、オーナーがいた。
あいかわらず、人外の美貌を誇るわね……。
それが、今日も変わらない、オーナーを見たときの私の感想だ。
少しだけ顔色が悪く見える白い肌は、逆に神秘的な印象を相手に与える。
暮れかけたまだ少し明るさを残す空のような紺色の髪、一番星みたいに輝く金色の瞳は、美しい、の一言。
羨ましくなってしまうくらい長いまつげと切れ長の目、整った鼻筋に口元。
それに、とてもいい香りがする。
騎士団長様の、少し強面で、たくましい印象のかっこよさに比べて、絵画から抜け出てきたような美貌を持つ人。それが、このお店のオーナーだ。